空港で撮った飛行機の写真を拡大してみると、胴体の後ろのほうに「JA05RK」のような小さな文字が写っています。これが機体記号。車でいうナンバープレートにあたるもので、国がその1機だけに割り当てた番号です。
便名とは別のものです。同じ便名でも、使われる機体は日によって替わることがあります。乗った飛行機や撮った飛行機を「あの1機」として見分けられるのは、機体記号のほうです。
この記号には、国の決まりがたくさんあります。胴体に書く文字は15センチメートル以上で、場所は水平尾翼のすぐ前。航空会社ごとに並びがそろっていることもあれば、外国へ移って「JA801P」が「F-WXAP」に変わった機体もあります。読み方がわかれば、今日撮った1機が今どこを飛んでいるかも調べられます。
2026年10月時点の情報です。法令と国の公開資料は2026年10月20日に確かめ、写真はすべて運営者が撮りました。

車のナンバープレートと比べる
読み方はむずかしくありません。まずは、身近な車のナンバープレートと並べてみます。車のナンバープレートは、「品川 330 さ 12-34」のように4つの部分でできています。地域名は車をふだん使う場所を受け持つ運輸支局など、分類番号は車の種類と用途、ひらがなは自家用か事業用かなどを表し、最後の4けたまでの数字がその車の番号です(自動車登録規則第13条)。
機体記号は、もっと単純です。「JA」が国、うしろの4文字が1機ごとの番号。地域や用途を表す部分はありません。

国に登録して番号が決まること、番号を表示しないと走れない・飛べないことは、車も飛行機も同じです(道路運送車両法第19条、航空法第57条)。好きな番号を希望できる仕組みも、どちらにもあります。ANAも、機体記号をナンバープレートにたとえて紹介しています。
ちがうところは、下の表のとおりです。
| くらべるところ | 車のナンバー | 飛行機の機体記号 |
|---|---|---|
| 最初の部分 | 地域(品川など) | 国(日本はJA) |
| 付け方 | 番号を書いた板を、車の前と後ろに取り付ける | 機体そのものに、消えにくい方法で書く |
| 引越しをしたら | 受け持ちの運輸支局が変わると、ナンバーも変わる | ふだん置く場所(定置場)が変わっても、記号は同じ |
| 番号を希望できるとき | 新しく登録するとき、引越しなどで地域名が変わるときなど | 新しく登録するときだけ。ほかの機体で使われたことのない記号に限る(一部例外あり) |
| 種類・用途 | 分類番号とひらがなでわかる | 記号の形ではわからない(数字4つの記号だけ、番号帯で種類が分かれる) |
覚えておきたいのは、飛行機の記号は置き場所が替わっても、持ち主が替わってもそのままだということ。変わるのは外国へ移るときで、この話はあとで書きます。
「JA」とうしろの4文字
航空法施行規則(航空法の細かいところを決めた国土交通省の省令)では、「JA」を国籍記号、うしろの4文字を登録記号と呼びます。2つを合わせた全体は「機体記号」と呼ばれ、航空ファンのあいだでは「レジ」や「レジ番」と呼ぶことが多いです。この記事では機体記号と書いています。レジはregistration(登録)の略です。

登録記号を決めるのは国です。持ち主が申請して航空機を登録するとき、国が記号を決めて、航空機登録原簿という台帳に書き込みます(航空法第5条)。メーカーが付ける製造番号とは別のものです。登録を受けると、その飛行機は日本の国籍を持つことになります(航空法第3条の2)。
JAと4文字のあいだには、ハイフンを入れません。施行規則は、登録記号を国籍記号のあとに続けて書く(連記する)と決めていて、国土交通省の案内でも「JA〇〇〇〇」と書いています。
機体のどこに書いてあるか
どこに、どのくらいの大きさで書くかも、施行規則の第133条から第140条で決まっています。条文は少し硬いので、要点だけ表にしました。
| 条 | 定め |
|---|---|
| 第133条 | 日本の国籍は、飾りのないローマ字の大文字「JA」で表す |
| 第134条 | 登録記号は、飾りのない4個のアラビア数字またはローマ字の大文字で表す |
| 第135条 | 国籍記号と登録記号は、消えにくい方法ではっきり表示する |
| 第136条 | 登録記号は国籍記号のあとに続けて書く |
| 第137条 | 飛行機は「主翼と尾翼」または「主翼と胴体」に表示する。主翼は右翼の上面と左翼の下面、胴体は主翼と尾翼の間の両側面 |
| 第138条 | 文字の高さは、主翼に書く場合50センチメートル以上、胴体に書く場合15センチメートル以上、垂直尾翼に書く場合15センチメートル |
| 第140条 | 国土交通大臣が支障がないと認めた場合は、第137条から第139条によらなくてもよい |
空港で見るときに役立つのは第137条です。胴体に書くなら、場所は主翼と尾翼のあいだ、水平尾翼のすぐ前。記号を探すときは、まず胴体の後ろのほうを見てください。主翼に書くなら、右の主翼の上の面と、左の主翼の下の面です。


離陸した飛行機を下から見上げると、左の主翼の下に書かれた記号が読めることがあります。下の写真は、長崎空港を離陸したスカイマークのJA737N。胴体の後ろと左の主翼の下の2か所に、同じ「JA737N」が見えます。

右の主翼の上の面は、見下ろす角度からなら見えます。主翼に書く文字は50センチメートル以上と、胴体(15センチメートル以上)より大きく決まっています(第138条)。


ヘリコプターは書く場所がちがい、胴体の底と横に書きます(第137条)。
外から見える記号のほかに、出入口の見やすい場所には識別板も付いています。持ち主の名前・住所と機体記号を刻んだ、長さ7センチメートル、幅5センチメートルの板で、名刺より少し小さいくらいです(第141条)。新しく登録した飛行機には、国が登録記号を刻む「打刻」もします(航空法第8条の3)。外から見える文字のほかにも、機体には記号が残されているわけです。
4文字の決まり
施行規則が決めているのは「数字か大文字を4つ」まで。細かい付け方は、国土交通省の「登録記号取扱規則」(1996年〈平成8年〉から運用)にあります。おもな決まりは次のとおりです。
- 一度ほかの機体に付けた記号は使わない
- 英字の「I」「O」「S」と、「CC」「JA」の並びが入る記号は使わない
- 英字を入れるなら、数字3つ+英字1つ(JA381A)か、数字2つ+英字2つ(JA01XJ)の形だけ
数字4つの形(JA8001など)とあわせて、日本の機体記号は3つの形に分かれます。

「I・O・Sを使わない」は、実際の記号を並べるとよくわかります。スカイマークの737-800は、受け取った順にJA737H、JA737K、JA737L、JA737M、JA737N、JA737P…と続きますが、I・O・Sの入った記号は1つもありません。なぜこの3文字なのかは、規則には書かれていません。
数字4つの番号帯
数字だけの記号は、機体の種類ごとに使う番号帯が決まっています。国土交通省が公開している「使用済登録記号一覧」(2026年10月9日更新)で、今も登録中の記号を番号帯ごとに数えました。
| 番号帯 | 機体の種類 | 登録中の数 |
|---|---|---|
| 0001〜0999 | 第3種滑空機(グライダー) | 90 |
| 1001〜1999 | 特殊の飛行機 | 1 |
| 2001〜2999 | 第1種・第2種滑空機、動力滑空機 | 367 |
| 3001〜4999 | レシプロ単発飛行機 | 292 |
| 5001〜5999 | レシプロ多発飛行機 | 23 |
| 6001〜6999 | タービン回転翼航空機 | 109 |
| 7001〜7999 | レシプロ回転翼航空機 | 50 |
| 8001〜8999 | ジェット・ターボプロップ飛行機 | 14 |
| 9001〜9999 | タービン回転翼航空機 | 43 |
レシプロはピストンエンジンのこと。タービン回転翼航空機は、ジェットエンジンの仲間のタービンエンジンで動くヘリコプターなどです。表の数は一覧の「登録中」を数えたもので、国土交通省は、この一覧をリアルタイムでは更新していないと案内しています。
ジェット機とターボプロップ機の8000番台は、登録中が14件だけ。ただ、同じ一覧には8001から8999までの999個のうち988個がすでに載っていて(抹消済み969、登録中14、予約中5)、番号のほとんどは使われたあとです。一方、英字入りの登録中の記号は、数字3つ+英字1つが988件、数字2つ+英字2つが819件。ViaFlightのスペマ一覧に載っている国内の機体も、すべて英字入りの形です。
航空会社ごとの並び
同じ会社の機体を並べると、記号の並びがそろっていることがよくあります。新しく登録するときは、ほかの機体で使われたことのない記号なら希望を出せるので(一部例外あり)、会社ごとにそろえることができるわけです。ただ、そろえるのは法令の決まりではありません。各社が文字にどんな意味を込めているかも、公式の資料では確かめられませんでした。
下の表は、ViaFlightのスペマ一覧(2026年10月時点)に載っている機体から、並びをそのまま抜き出したものです。
| 航空会社 | 一覧に載っている例 | 見られる並び |
|---|---|---|
| ANA | JA381A(A380)、JA461A(DHC-8-400)、JA614A(767)、JA784A(777)、JA871A(787) | 数字3つ+「A」。最初の数字が機種ごとにそろっている(A380は3、767は6、777は7、787は8)。737-800のJA58ANは末尾が「AN」 |
| JAL | JA01XJ・JA02XJ・JA03XJ・JA15XJ(A350-900)、JA861J・JA868J・JA869J(787-9) | A350-900は「XJ」、787-9は数字3つ+「J」で最初の数字が8 |
| JALグループのATR機 | JA01JC・JA02JC・JA05JC(ATR42-600)、JA06JC(ATR72-600) | 数字2つ+「JC」 |
| JTA | JA05RK・JA06RK・JA07RK・JA10RK(737-800) | 数字2つ+「RK」 |
| IBEXエアラインズ | JA07RJ・JA10RJ・JA14RJ(CRJ700) | 数字2つ+「RJ」 |
| スプリング・ジャパン | JA81YA・JA82YA・JA83YA(A321ceo P2F、ヤマト運輸の貨物機) | 数字2つ+「YA」 |
| スカイマーク | JA73AB・JA73NG(737-800) | どちらも「JA73」で始まり、末尾の文字は違う |

スカイマークが受け取った737-800は36機。記号はどれも「JA73」で始まっていました。2026年4月に受け取った737-8の1号機はJA738Aです。一方で末尾はそろっていなくて、同じ737-800でもJA73ABとJA73NGのように違います。

会社の並びに合わない機体もあります。AIRDOの767-300ER、JA607Aは、もとはANAで飛んでいた機体です。一度付いた記号は変えられないので、ANAの機体に多い「数字3つ+A」の形のまま、AIRDOで飛んでいます(2021年12月の報道時点)。運航会社は記号だけで決めず、塗装やFlightradar24の情報とあわせて見るのがおすすめです。
記号が変わらないとき・変わるとき
持ち主が替わったときは「移転登録」、ふだん置く場所(定置場)が替わったときは「変更登録」という手続きをしますが、どちらも記号はそのままです(航空法第7条・第7条の2)。一度付いた登録記号は、あとから変えられません。
登録を消す「抹消」をした機体を、もう一度日本で登録したときも、前と同じ記号に戻ります。そして、一度使われた記号がほかの機体に回されることはありません。使用済登録記号一覧には8,437件が載っていて、そのうち5,166件は抹消済み。まだ機体のない「予約中」の記号も475件あります。希望の記号は、登録の前に予約しておく仕組みです。
記号が変わるのは、飛行機が外国へ移るときです。外国で登録するには、まず日本の登録を抹消し、抹消したことを相手の国の政府に知らせる手続きをします。日本の法律でも、外国の国籍を持つ飛行機は日本で登録できません(航空法第4条)。
Peachの1号機JA801Pは、2019年5月3日に最後の便を飛んで退役し、6月10日にシンガポールへ向けて関西空港を出発しました。このときの記号はF-WXAP。Fはフランスの国籍記号です。国内で最初の737-800だったスカイマークのJA737Hは、イギリスのジェット・ツーでG-DRTUに、JA737Kは韓国のティーウェイ航空でHL8000になりました(2023年5月の記事の時点)。
反対に、日本に来る前の新しい飛行機が、別の国の記号で飛んでいることもあります。ANAグループのDHC-8-400(Q400)は、日本の記号が付く前はカナダの国籍でした。試験飛行や、航空会社に渡すまでの飛行はメーカーが受け持ち、そのあいだはメーカーのある国の記号を付けるからです。

海外の国籍記号
国籍記号は国ごとに、国際民間航空機関(ICAO、国際的な民間航空のルールを決める国連の専門機関)に届け出られています。ICAOの一覧(2026年6月1日付)などと照らして、ViaFlightの世界の特別塗装機一覧に出てくる機体をいくつか並べました。
| 国籍記号 | 国・地域 | 世界版スペマ一覧の例 |
|---|---|---|
| HL | 韓国 | HL7783(大韓航空) |
| B | 中国(香港・マカオを含む)、台湾 | B-5912(中国国際航空)、B-KQI(キャセイパシフィック)、B-18101(チャイナエアライン) |
| HS | タイ | HS-VKC(タイ・ベトジェット) |
| VT | インド | VT-ANP(エア・インディア) |
| 9V | シンガポール | 9V-SWI(シンガポール航空) |
| VH | オーストラリア | VH-ZND(カンタス航空) |
| ZK | ニュージーランド | ZK-NZE(ニュージーランド航空) |
| N | アメリカ | N411DX(デルタ航空) |
Bは、ICAOの一覧では中国(香港・マカオを含む)の国籍記号です。台湾の機体もBで始まり、台湾の「航空器登記規則」では、Bのあとにハイフンと5けたの数字を続けると決めています(例:B-18101)。
うしろの部分の決まりも国・地域によって違います。日本は必ず4文字ですが、アメリカはNのあとに1〜5文字。数字だけ(N12345)、数字のあとに英字1文字(N1234Z)、英字2文字(N123AZ)の形があり、最初の文字に0は使えません。IとOを使わないのは日本と同じで、アメリカの連邦航空局(FAA)は、数字の1と0とまちがえないためだと説明しています。
国籍記号と登録記号の間のハイフンも、国・地域によって書き方が違います。HS-VKCやB-KQIには入っていて、HL7783やN411DXには入っていません。

記号で機体を追いかける
機体記号がわかると、1機の飛行機を追いかけられます。気になった機体の記号をFlightradar24で検索すれば、その機体が今どこを飛んでいるかがわかります(2026年10月時点)。使い方はFlightradar24の使い方に書きました。
特別塗装機を探すときも同じです。日本の特別塗装機一覧は機体を登録記号で並べているので、記号を控えて検索すれば、その日どの便に入っているかの見当がつきます。
撮った写真の整理にも使えます。同じ機種の写真がたくさんあっても、記号ごとに分ければ1機ずつの記録になります。記録アプリのJA999Aには、写真から機体記号を読み取る機能があります。
ある記号が今も登録中か、もう抹消されたかは、国土交通省の「使用済登録記号一覧」で調べられます。