空港で飛行機を眺めていると、いつもとまるで違う姿の機体がやってくることがあります。ピカチュウが描かれたボーイング737-800や、青いウミガメの姿をしたエアバスA380。こうした機体が、特別塗装機(スペマ機)です。
描かれるのはキャラクターだけではありません。地域のPR、航空連合のロゴ、節目を記念するロゴと、中身は機体ごとにさまざまです。機首に小さなロゴが入っただけの、遠くからでは気づきにくい機体もあります。
そして、多くは期間限定です。約3か月の予定で始まったものもあれば、約5年の予定で飛び始めたものもあります。登録記号はそのままで、別のデザインに塗り替えられて飛び続ける機体もあります。
見たい機体があっても、空港に行けばその日に来るとは限りません。同じ便名でも、飛ぶ機体は日によって替わるからです。狙って撮りに行くなら、便名ではなく登録記号で追いかけます。登録記号は「JA381A」のような、1機ごとに決まった番号です。
2026年10月時点の情報です。機体の写真はすべて運営者が撮りました。
通常塗装と特別塗装機
航空会社には、尾翼のロゴや胴体の色など、全機に共通するデザインがあります。これが通常塗装です。そこから外れたデザインで飛ぶ機体を、特別塗装機と呼びます。
「スペマ」はスペシャルマーキングを縮めた言い方で、航空ファンの間ではよく使われています。範囲はかなり広く、機体をまるごと塗り替えたものもあれば、機首に小さなロゴが入っただけのものもあります。
特別塗装機の種類
デザインの目的で分けると、下の表のようになります。例に挙げたのは、ViaFlightの一覧に載っている(または載っていた)機体です。
| 種類 | どんなものか | 例(登録記号) |
|---|---|---|
| キャラクター | アニメやゲームのキャラクターを描く | ピカチュウジェットBC1(JA73AB) |
| 地域・団体とのタイアップ | 自治体や団体と組み、地域の魅力を伝える | ジンベエジェット(JA05RK)、ナッシージェット宮崎(JA803X)、コウノトリの特別塗装機(JA05JC) |
| 路線の看板 | 特定の路線に使う機体を専用のデザインにする | FLYING HONU(JA381A・JA382A・JA383A) |
| 航空連合(アライアンス) | 加盟する航空連合のロゴを大きく描く | スターアライアンス塗装(JA872A)、ワンワールド塗装(JA15XJ) |
| 記念 | 節目を記念するロゴやマーキングを入れる | ATR 1500th(JA06JC) |
※ナッシージェット宮崎のように、キャラクターと地域PRの両方に入る機体もあります。
キャラクター
2021年6月21日、胴体いっぱいに風船を持ったピカチュウを描いたボーイング737-800が、スカイマークで就航しました。ポケモンの「そらとぶピカチュウプロジェクト」の機体で、名前は「ピカチュウジェットBC1」(JA73AB)です。
ANAにもピカチュウがいます。ボーイング787-9の「ピカチュウジェットNH」(JA894A)で、2028年ごろまで飛ばす計画だと2026年4月に報じられました。
地域・団体とのタイアップ
JTA(日本トランスオーシャン航空)の「ジンベエジェット」は、沖縄美ら島財団と組んだ機体で、初代は2012年12月に就航しました。2026年1月にJA07RKが加わり、ボーイング737-800の3機(JA05RK・JA06RK・JA07RK)がそろいました。
「ナッシージェット宮崎」(ボーイング737-800、JA803X)は、ソラシドエアで初めての全面塗装機です。就航は2023年3月2日。宮崎県とポケモンが進めていた観光誘致策「ナッシーリゾート in 宮崎」の一環でした。
持ち主が航空会社ではない特別塗装機もあります。JAC(日本エアコミューター)のATR42-600、JA05JCは、兵庫県の但馬空港にちなんだコウノトリの特別塗装機。2022年の報道時点では、空港のターミナルを運営する但馬空港ターミナル会社が持ち主でした。
路線の看板(FLYING HONU)
ANAのエアバスA380「FLYING HONU」は、成田-ホノルル線のために入った3機です。HONU(ホヌ)はハワイの言葉でウミガメのこと。機体全体がウミガメのデザインで、1号機JA381Aは青、2号機JA382Aは緑、3号機JA383Aはオレンジです。いちばん上の写真が1号機です。
航空連合の塗装
ANAはスターアライアンス、JALはワンワールドという航空連合(アライアンス)に入っていて、どちらも連合のロゴを大きく描いた機体を飛ばしてきました。JALのエアバスA350-900、JA15XJは2022年2月21日に就航した機体で、JALのA350では初めてのワンワールド塗装です。
記念ロゴ
ATRが2018年10月に引き渡した1,500機目は、JACのATR72-600、JA06JCでした。写真を撮ったときは、機首に「ATR 1500th」のロゴが入っているだけで、あとは通常塗装でした。遠くからだと気づきにくいロゴです。
デカール
印刷したフィルム(デカール)を貼る方法もあります。ZIPAIRは2026年9月28日、ボーイング787-8のJA828Jに協力企業のロゴを貼った「デカール機」の運航を始めました。期間は約3か月の予定です。
特別塗装機を飛ばす理由
就航時の発表を読むと、ナッシージェット宮崎は宮崎県への誘客、ANAの「ふるさとJET」(JA58AN)は地域創生の取り組みが目的でした。ZIPAIRのデカール機は、協力企業と組んで脱炭素を打ち出しています。
FLYING HONUは、ひと目でホノルル線の機体だとわかります。JA06JCの「ATR 1500th」は、記録をロゴにして残した例です。
運航期間と塗り替え
特別塗装機の多くは、期間を決めて飛びます。就航時に出ていた予定は、ナッシージェット宮崎が「3年程度」、ピカチュウジェットBC1が「約5年間」、ZIPAIRのデカール機が「約3か月」でした。延びることも変わることもあるので、今どうなっているかは航空会社の発表を見てください。
期間が終わった機体は、通常塗装に戻るか、別のデザインに塗り替えられます。ANAのJA58ANは、大阪・関西万博の「EXPO2025 ANA JET」(2024年12月就航)から、2025年12月8日に「ふるさとJET」に変わりました。デザインが変わっても登録記号は同じなので、同じ機体として追いかけられます。
飛び終えた機体の写真は過去の特別塗装機に載せています。
登録記号で探す
ViaFlightの一覧から探すなら、次の流れです。
- 日本の特別塗装機一覧で、狙う機体の登録記号を確かめる。
- 一覧の「追跡」を押す。Flightradar24のその機体のページ(JA381Aなら flightradar24.com/data/aircraft/ja381a)が開き、最近の便が並ぶ。
- 便名がわかったら、空港の発着案内で時刻を確かめ、撮る場所と時間を決める。
- 出かける前にもう一度見る。機材繰り(機体の割り当ての変更)で、別の機体に替わることがある。
Flightradar24のアプリなら、検索欄に登録記号を入れても機体のページを開けます。
航空会社が運航予定を出すこともあります。スカイマークは2022年に、ピカチュウジェット2機の7月から9月のダイヤを公開しました。Flightradar24の使い方はFlightradar24の使い方で説明しています。
撮影するとき
全面塗装なら機体全体を入れ、機首だけのロゴなら機首まわりを大きく写します。
機体の左右どちらが見えるかは、滑走路の向きと撮る場所で決まります。その日の使用滑走路と撮る場所の位置は、出かける前に見ておきます。直前まで追跡を見ておき、機材が替わったら次の便を探します。
関連ページ
- 日本の特別塗装機一覧
- 世界の特別塗装機一覧
- 過去の特別塗装機(運航を終えた機体の写真)
- Flightradar24の使い方
- 積極募集中の機体一覧(写真を募集している特別塗装機)